宝石の丈夫さを測る2つの指標「モース硬度」と「靭性」

宝石の丈夫さを測る2つの指標「モース硬度」と「靭性」


宝石の丈夫さは、なにで決まるかご存知ですか。ダイヤモンドはもっとも硬い宝石として有名ですが、硬い=丈夫というわけでは無いのです。最近TASAKIとコラボした『宝石の国』という人気アニメに登場するキーワードにもなっているため聞いたことがあるかもしれませんが、宝石の丈夫さは、硬度と靭性という2つの指標によって決まります。

モース硬度

宝石の硬さを表す指標に、モース硬度というのがあります。モース硬度とは、ドイツの鉱物学者 フリードリッヒ モースが作った指標で、鉱物の硬さを表す度合いです。モース硬度は、丈夫さと勘違いされやすいのですが、必ずしもモース硬度が高い=丈夫、というわけではありません。モース硬度は、その鉱物をひっかいたときにどれくらい傷つきにくいか、ということなので、落としたり、硬いもので叩いた時に割れやすいかどうか、というのはまた別です。

モース硬度の表

宝石 硬度 靭性
出典:GIA.edu

モース硬度 宝石名
10 ダイヤモンド
9 ルビー
サファイア
スタールビー
スターサファイア
カラーチェンジサファイヤ
8.5 アレキサンドライト
キャッツアイ
クリソベルキャッツアイ
8 エメラルド
トパーズ
アクアマリン
ルチルトパーズ
スピネル
インペリアルトパーズ
7.5 ガーネット
トルマリン
ゴッシェナイト
キャッツアイアクアマリン
ベリル
モルガナイト
7 アメシスト
翡翠
デマントイドガーネット
スモーキークォーツ
6.5 タンザナイト
ペリドット
6 オパール
ターコイズ
ムーンストーン
5.5 ラピスラズリ
5 アパタイト
4 マラカイト
3.5 コーラル、真珠
3 大理石、カルサイト
2 石膏、琥珀
1 滑石

モース硬度1は、チョークの柔らかさです。
宝石 硬度 靭性
人間の爪は、モース硬度2ぐらいと言われています。モース硬度2の宝石は琥珀が有名です。

宝石 靭性 硬度
モース硬度8〜8.5以上だと、宝石として日常使いをしても、引っかき傷にあまり神経質にならなくてもいいかと思います。
反対に、宝石としてよく使われるタンザナイト(宝石モース硬度6.5)・オパール(宝石モース硬度6)・トルコ石(宝石モース硬度6)などは、ひっかきキズには弱いため、身につけるときにもすこし意識したほうがいいかもしれません。

真珠や珊瑚が柔らかい、というのは、なんとなく想像が付きますね。宝石を保管する際は、それぞれがぶつかり合わないように保管することが基本ですが、モース硬度が違う者同士を一緒に保管する際はかなり注意が必要です。
宝石 硬度 靭性
例えばダイヤモンドと真珠を一緒に入れておくと、ダイヤモンドによって、真珠の表面が傷ついてしまう可能性がかなり高いです。また、モース硬度は、相対評価であるため、例えば、ダイヤモンドをルビーでこすっても、ダイヤモンドには傷がつかないですが、ダイヤモンドをダイヤモンドでひっかくと、傷が付きます。(ダイヤモンドを研磨する際、ダイヤモンドで削るのはこの原理です)なので、モース硬度が高い石であっても、互いが接触しないように保管するようにしましょう。

ちなみに、宝石の国のキャラクターとなっている石の硬度は以下の通りです。
フォスフォフィライト 3-3.5
シンシャ 2-2.5
ダイヤモンド 10
ボルツ 10
モルガナイト 7.5
ゴーシェナイト 7.5
ルチル 6
ジェード(翡翠) 7
アメシスト 7
ベニトアイト 6.5
ネプチュナイト 5.5
ジルコン 7.5
オブシディアン 5
イエローダイヤモンド 10
ユークレース 7.5
アレキサンドライト 8.5
パパラチア(パパラチアサファイヤ) 9

宝石の靭性

宝石の靭性とは、衝撃に対してどのくらい強く、割れにくいかを示す指標です。

宝石の靭性の表

靭性 宝石名
8 ルビー、サファイヤ、翡翠
7.5 ダイヤモンド、石英、アクアマリン
6 ペリドット
5.5 エメラルド
5 トパーズ、ムーンストーン
3.5 アパタイト

モース硬度の高いダイヤモンドは、ひっかきキズには強いですが、衝撃に関していえば、ルビー、サファイヤ、翡翠の方が強いといえます。ダイヤモンドは靭性も比較的高めですが、一定方向からの衝撃には弱いので、落としたり、どこかにぶつけてしまうとひびが入ってしまうことがあるため要注意です。翡翠が昔から中国やアジアの国で人気が高いのは、靭性が高いため、丈夫=お守りとして昔から重宝されてきたためと言われています。翡翠は、小さな結晶の集合でできているため、割れにくいのです。
宝石 硬度 靭性
靭性の高い宝石は、衝撃に強いですが、天然の宝石にはヒビがはいっていることがありますので、ヒビがあればそこから割れやすくなるので、できるだけ丁寧に扱うようにしましょう。エメラルドは、靭性が低いので、絶対に落とさないようにしましょう。大きいエメラルドは非常に高価ですが、大きければ大きいほど、石の中に小さなヒビが入っている可能性が高いので、落とすと割れてしまう可能性が高いです。

以上が、宝石の丈夫さを決める、硬度と靭性の説明になります。硬度も靭性も高く、丈夫といえる石であっても、ジュエリーは、金具の作りが繊細なので、大切に扱うに越したことはないとは思います。個人的には、長い年月に耐えられるよう、ダイヤモンドが結婚指輪や婚約指輪に使われている事に、妙に納得してしまいました。

リカラット編集部 監修

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ABOUTこの記事をかいた人

宝石鑑定士。米国宝石学会(GIA G.G).,AJPの資格保持。ジュエリー業界に12年勤務。これまで100万石以上の宝石売買に携わり、宝石の販売価格や買取価格のトレンドをおさえています。特に色石の買取価格の把握は難しいため、年に10回以上、海外へ飛び回り相場を掴むようにしてます。好きな宝石はパライバトルマリン。