宝石の王様 ラウンドブリリアントカットのダイヤモンド

宝石の王様 ラウンドブリリアントカットのダイヤモンド

ダイヤモンドがキラキラと輝くのはなぜ?それは、カットが素晴らしいからです。普段何気に見ているラウンドブリリアントカット。実は、このカットは綿密に計算され、熟練カット職人の高い技術で念入りに施されているのです。原石の美しさを最高に引きだすカット、ラウンドブリリアントカットについてのお話です。

ラウンドブリリアントカットって何?


まず、ブリリアントカットとは、宝石内部の輝きを最大に引き出すためにファセット(細かくカットした表面)を多くしたカット方式です。シェイプ(形)はラウンドを始め、マーキースやハート、オーバル、ペアシェイプなど数々のファンシーカットに用いられています。

ラウンドブリリアントとは、表面を丸い形にカットしたもの。ダイヤモンドに最も用いられているカットで、鑑定書に4Cが記載されるためには、ラウンドブリリアントカットが施されていなくてはなりません。

ラウンドブリリアントカットの条件


ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドは、鑑定書のカットグレードの欄で以下について評価が下されています。

プロポーション

ラウンドブリリアントカットは、クラウン(上部)に33面とパビリオン(下部)に25面の、全体で58面のファセットが施されているのが定番です。ガードルにファセットを施すこともありますが、計算には入れられません。測定器でサイズを測定した後、鑑定士が10倍の拡大鏡でシンチレーション、ファイア、ブリリアンスの3つの輝き、そしてポリッシュとシンメトリーを鑑定します。

サイズ

ダイヤモンドを横から見た際のサイズを測定します。深さなどから割り出したものを計算し、パーセントで測定値が出されます。この結果によって、全体のバランスが良いかを確認します。

  • キュレット(尖った先端)からテーブル(表面)までの深さ。身長の様なものです。
  • ガードルの端から端までの幅。最長の横幅です。
  • テーブルの幅。表面の平らな部分の幅です。
  • ガードルの角度とキュレットの大きさ

シンチレーション

ダイヤモンドを動かしたときに、内部からキラキラ光る輝きの強さ。外部のあらゆる方向から光が入った時、白黒のきらめきが多いほど高評価になります。

ファイア

外部から入った光が反射し、虹色のような光を見せるものです。透明度の高いほど、美しいディスパージョン(拡がり方)を見せます。

ブリリアンス

表面と内部からの輝きの良さで決まる、ダイヤモンドの明るさです。外部の反射光とコントラストが強いものほど、素晴らしいブリリアンスを見せます。

ポリッシュ

研磨が優れており、表面に研磨時の欠陥が見られないほど高評価になります。

シンメトリー

ファセットが全体的にバランス良く、対称的にカットされていなければなりません。バランスが悪いと反射光や輝きに大きな影響が出ます。

ラウンドブリリアントカットの歴史

マザランカット

ラウンドブリリアントカットの原型となったのが、17世紀中頃に発明されたマザランカットです。フランスの有力な政治家ジュール・マザランが考案しました。マザランカットと呼ばれ始めたのは20世紀に入ってからのことです。オールドシングルカットを進化させたもので、クラウンとパビリオンにそれぞれ17面、合計34面というシンプルなカットでした。

オールド・ヨーロピアン・カット

19世紀後半から20世紀初期にかけて流行したカットです。四角に近かったマザランカットがさらに進化し、表面は丸い形です。ファセットは58面と同じですが、テーブル面が狭くクラウンが広い。ガードルの幅も広いので、3つの輝きの要素が美しく表現されています。

マルセル・トルコフスキー

1919年、アントワープの数学家マルセル・トルコフスキーがブリリアントカット理論を発表しました。宝石の街アントワープで、歴代ダイヤモンド研磨業を営んできた家系に育ったトルコフスキー。数学者である特性を活かし、ラウンドブリリアントカットの完璧なプロポーションを計算したのです。その後トルコフスキー理論は、研磨や鑑定における重要な参考として世界中で認められています。

まとめ


wideweb / Shutterstock.com

原石には傷やインクルージョンがあります。カットされたダイヤモンドが最高に美しく輝くためには、カットする場所や方向も考えなければなりません。有名なダイヤモンドなどは、何か月もかけてカットの仕方を考え、何度も何度も練習用の石で試した後にカットが施されたそうです。指先で輝くダイヤモンドは、カット職人さんたちが心を込めて世に送りだしてくれた完成品なのですね。

リカラット編集部 監修





ABOUTこの記事をかいた人

ロンドン在住。Gem-Aで学んだ後、2001年にFGAとDGAを取得。宝石の歴史や伝説などについてのお話と、19世紀末のアール・ヌーヴォーのデザインがお気に入り。好きな宝石は、深いコバルトブルーをしたアウイナイトです。