パパラチアサファイアに施される「ベリリウム拡散加熱処理」とは

趣味で20年以上レアストーン寄りの宝石やジュエリーを収集しています。メキシコのウォーターオパールからはじまり、既に50種類以上のルースを所持しています。王道(?)のグランディディエライトやレッドベリルをはじめ、コーネルピンやペツォッタイトといった誰も知らないような希少石も大好物。宝石を太陽光に当てたり、ブラックライトで照らしたりしてマニアックに宝石を楽しんでいます。

パパラチアサファイアに施される「ベリリウム拡散加熱処理」とは

パパラチアサファイアは、「蓮の花」という意味の名前をもつサファイア。オレンジとピンクのちょうど中間の色合いが特徴の宝石です。
サファイア自体はそれほど珍しいものではありませんが、この微妙な色合いのものはかなり希少な存在なのです。そのほとんどはスリランカで発掘されていました。
しかし、2001年からマダガスカル産が多く出回るようになり、その多くが後にベリリウム拡散加熱処理を施されたピンクサファイアであると判明したのです。
今回は、パパラチアサファイアのベリリウム拡散加熱処理についてまとめてみました。

ベリリウム拡散加熱処理とは

宝石には美しさを引き出すための処理が施されるケースがあります。処理のなかでも、天然石が本来持っている美しさを引き出すようなものは「エンハンスメント」、それ以外の処理を、「トリートメント」と呼びます。少し極端な例えかもしれませんが、エンハンスメントは美容エステ、トリートメントは美容整形と考えると分かりやすいかもしれません。
ちなみに、サファイアの場合には加熱処理というエンハンスメントが行われているのが一般的です。それもあって、加熱処理については、多くの人が「天然であること」を損ねない最低限の処理と捉えているのではないでしょうか。
一方、今回ご紹介するベリリウム拡散加熱処理は、トリートメントに該当します。ピンクサファイアの加熱処理の過程で、表面にベリリウムを含ませることにより、彩度の高いパパラチアカラーに変化させてしまうのです。なお、この処理はパパラチアだけでなく、ブルーサファイアに対しても行われていたという報告があります。

ベリリウム拡散加熱処理の特徴


ベリリウム拡散処理されたパパラチアサファイアの特徴は、下記の通り。

  • 彩度が高い
  • インクルージョンが少ない

彩度というのは色の濃さ(鮮やかさ)や強さのことです。
ちなみに、画像のサファイアは、全てベリリウム拡散加熱処理が施されたもの。このような鮮やかな色のものは、ベリリウム拡散加熱処理の可能性が高いです。さらに価格が安い場合は安易に購入しないほうがよいと思います。

パパラチアサファイアの価値について


どの宝石でもいえることですが、「無処理(自然のまま)」で「美しい」ものは評価が高くなります。そのため、加熱処理が行われたサファイアは、無処理(非加熱)のものと比較すると、多少価値が下がります。しかし、ベリリウム拡散加熱処理というトリートメントが認められた場合には、ほとんど価値なしと見なされます。
もちろん、ベリリウム拡散加熱処理を施されたサファイアは、最高級のパパラチアカラーとなり、非常に美しい宝石であるといえます。しかし、美しいのは表面だけ。割ってみた場合には、表面と中の色が全く違うというものになっているのです。

パパラチアサファイアにおける鑑別書の重要性


2004年以降は、ベリリウム拡散加熱処理が認められたものについては、「パパラチアサファイア」という表記はされなくなりました。「拡散処理のサファイア」と明記されるため、しっかりとした鑑別書があれば安心です。しかし、過去に、タイのGITという国立の鑑別機関などで、ベリリウム拡散加熱処理のサファイアに対して「通常の加熱処理」という判定を行っていたという事件がありました。そのため、どこの鑑別機関でも良いというわけではなく、日本にも怪しい鑑別機関は存在するという実情があるため、こちらに業界内で信頼されてる鑑別機関をまとめましたので良ければご覧下さい。

また、古い日付の鑑別書の場合(特に20年以上前に発行された鑑別書)は、あまり信用できません。鑑別書に「通常、色の改善を目的とした加熱が行われています」と書かれているにもかかわらず、ベリリウム加熱処理が行われている可能性があるのです。あまりにも鑑別書の日付が古い場合には、新しく取り直すことをおすすめします。

パパラチアサファイア購入時の注意点

先日、ネット販売で見つけたのが「拡散処理のパパラチアサファイアです」という文言。拡散処理というのは、ベリリウム拡散加熱処理のことを指すので、「パパラチアサファイアです」とは書けないはずなんですよね。
それ以外にも「特殊な処理が行われています」「新しい処理がなされています」といった、あいまいな説明のみで高値で販売しようとしている業者が後を絶ちません
しかし、ベリリウム拡散加熱処理の有無を肉眼で判別することは、まず不可能です。ベリリウム拡散処理の判別は一般の方ではまず無理で、しっかりと知識のある質屋等でも7割くらいしか分からない程の難易度が高いです。つまり、最終的には質量分析装置で正確な検査をする必要があるのです。分析には1万円前後の費用が発生するので、それよりも安いような宝石であれば、ちょっとためらってしまいますが、特別な1石には必ず鑑別書を付けた方が良いですね。

リカラット編集部 監修

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趣味で20年以上レアストーン寄りの宝石やジュエリーを収集しています。メキシコのウォーターオパールからはじまり、既に50種類以上のルースを所持しています。王道(?)のグランディディエライトやレッドベリルをはじめ、コーネルピンやペツォッタイトといった誰も知らないような希少石も大好物。宝石を太陽光に当てたり、ブラックライトで照らしたりしてマニアックに宝石を楽しんでいます。