蛍のような美しさフローライトの特徴

フローライト1

蛍のような美しさフローライトの特徴

豊富なカラーバリエーションがあることで、コレクターにも人気のフローライト。蛍光性があるものや2色を発色するものもあり、不思議な魅力を持つ宝石です。

こちらでは、直観力を高めて気持ちを平穏にしてくれる目覚めの宝石と言われている、フローライトについてのお話をお伝えします。

鉱物としての性質

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結晶系 等軸晶系
化学組成 フッ化カルシウム
硬度 4
比重 3.18
屈折率 1.43~1.44
複屈折量
光沢 ガラス状

フローライトの特徴

フローライト3

完全なへき開性

フローライトの原石は等軸晶系で、キュービック型をしています。ほとんどが六面体で、八面体はレアな存在。双晶を見せる原石も多く見られます。
しかし「へき開」(ある一定の方向から衝撃を与えると簡単に割れてしまう特質)を持ち、特にフローライトの場合、衝撃が加わると正八面体にスパッと割れてしまう、完全なへき開性があります。
しかもモース硬度が4と軟らかいほうなので、ジュエリーとしてはあまり加工されません。
宝石の丈夫さを測る2つの指標「モース硬度」と「靭性」とは

多彩なカラーバリエーション

フローライトの特徴はなんといっても色が豊富なこと。世界中で最もカラフルな宝石と呼ばれるほど、色のバリエーションが豊かです。無色やピンク、紫、黄、青、緑色などのレインボーカラーから、ひとつの石に2色や斑状の色を呈するものなど大変多彩です。

色が豊富な理由は、アロクロマティックという染色性で、不純物が加わることにより色が変化します。色が変わる要因は不純物のほかにも、自然の放射線の影響や結晶中の格子欠陥などが考えられます。

名前の意味と由来

蛍光色を呈することで知られるフローライトは、旧名を「フロースパー(fluorspar)」といいます。

フローライトは金属を溶かす特質があるので、古代では金属にフローライトを溶かして精錬していました。このことから、ラテン語で「(溶けて)流れる」という意味のfluereが名前の由来だと伝わります。

色が蛍光するという現象はフローライトによって発見され、後に蛍光という意味の「フローレッセンス(fluorescence)」という言葉が作り出されました。和名にも蛍光という意味の「蛍石(ほたるいし、けいせき)」という名が付けられています。

フローライトの産地

南アフリカ、メキシコ、中国、モンゴル、ロシア、スペイン、ナミビア共和国、アメリカ、カナダなどが現在の主な産出国。ほかにもペルー、タイ、ポーランド、チェコ、ハンガリー、ノルウエー、イギリス、ドイツ、スイスなどで採掘されています。

強い蛍光色を見せる

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フローライトの中には紫外線を照射すると強く蛍光するものがあり、ブラックライトにも反応します。蛍光色を発するのは、内包される不純物や原子組成上での何らかの不都合が原因だといわれています。

蛍光色が見られるフローライトは産地によることがほとんどですが、同じ産地のものでも蛍光色に強弱の差があります。自然光の下では紫色をした石が、紫外線を照射すると青色に蛍光するなど、紫外線照射により全く違う色を見せるのが一般的です。

ブルージョン(ダービーシャー・スパー)

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イギリスのダービーシャー州にあるキャッスルトン村で産出される、「ブルージョン」と呼ばれるフローライトです。紫系の青色と黄色などの縞模様をした原石で、19世紀には食器や装飾品として加工されていました。

現在はキャッスルトンでの産出量は減少していますが、ブルージョン洞窟やトリーククリフ洞窟では現在も採掘が行われており、ガイド付きで一般公開されています。

最後に~フローライトの伝説

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フローライトは古代エジプトでスカラベや彫刻などに使用されており、中国でも古くから彫刻に使われていました。ブルージョンはローマ人に発見されたという説もあり、古代ローマ時代にはブルージョンでできたコップで酒を飲むと酔わないと信じられていた、という伝説もあるそうですよ。

リカラット編集部 監修





ABOUTこの記事をかいた人

ロンドン在住。Gem-Aで学んだ後、2001年にFGAとDGAを取得。宝石の歴史や伝説などについてのお話と、19世紀末のアール・ヌーヴォーのデザインがお気に入り。好きな宝石は、深いコバルトブルーをしたアウイナイトです。