宝石の鑑別書に書かれた『透明材を認む』『含浸処理』ってどういうこと?

クエスチョンマーク

小学6年生の時に古代エジプト展に展示されていた宝飾品を観て宝石にハマる。大学で金工を専攻。宝石の卸売会社で7年間働いた経験あり。好きな石はダイヤモンドと翡翠。

宝石の鑑別書に書かれた『透明材を認む』『含浸処理』ってどういうこと?

最近ネットを賑わす格安の大粒ルビー。実は私も、この大粒のルビーをゲットしてしまいました。

その大きさ、なんと10.732カラット!!
そして値段は……なんと1万円(≧∇≦)

先日リカラットの社長に見せたところ、

「このルビー、充填がなかったら2500万円はいくかも」

という言葉に狂喜乱舞。

あれ、でもちょっと待った、充填

充填ってなに?


ルビーの袋に書かれた「天然ルビー」の文字。
でもコメントに『透明剤を認む』と書かれています。
実はこれは鑑定用語では「充填されている」という意味なのだとか。。。

天然ルビーなんだからいいじゃん!

と思う気持ちと裏腹に、やはり気になる「透明剤を認む」というコメント。

そしてもう1つ、色が気に入って購入したヒスイに書かれていた

『含浸処理』

という言葉。天然ヒスイなのに、含浸処理。
やっぱり気になります。。。これってどういう意味なのでしょうか。

GIA基準「透明材を認む」の意味

クエスチョン
透明材を認む=充填処理。

この意味をきちんと考えるなら、やはりここはGIAに聞くのが一番でしょう。
GIAのHPを検索して出て来たのが、こちらの内容です。

“表面に達するフラクチャーまたはキャビティを見えにくくするため、また宝石の見た目のクラリティや外観、安定性を改良するため、あるいは極端な例では宝石に僅かに重量を追加するために、ガラス、樹脂、ワックス、オイルなどで充填すること。

充填素材は、固形物(ガラス)から液体(油類)まで様々ですが、ほとんどの場合は無色です(有色の充填材は染料に分類されます)。”

https://www.gia.edu/JP/gem-treatment#より抜粋)

要するに、充填とは宝石の見た目を良くするために、ガラスやワックスなどの「透明材」を石に埋め込んで補填するということ。

この充填方法、お豆腐なら栄養満点ですが宝石にやるとどうなんでしょう。

充填した宝石が安い理由


「う〜ん、時間が経つと色が変わっちゃうことがありますよね。」

このルビー、鑑定士さんに見せたところ、サクッと言われてしましました。。

このような処理された宝石は、大きなフラクチャー(割れ目)がある宝石であればあるほど後から劣化する可能性があるといいます。

絶対にやってはいけないのは、

・アルコールやアセトンなどの溶剤で洗浄する

・長時間紫外線にさらされる

・超音波洗浄機で洗う

こと。

充填した宝石が安いのは、こんな理由があるからなんですね。。。

含浸処理とは?

含浸処理とは、無色の油や樹脂を、宝石に染み込ませる処理のことです。

エメラルドにはほとんどがこの含浸処理がされています。しかし加工する前のエメラルドの原石は、内部の状態を観察するために通常ベビーオイルに浸します。
これは傷の多い部分を避けて研磨するための処置ですから、含浸処理とは言わないとか。

そういえば、

エメラルドの含浸はエンハンスメント充填はトリートメントなのでNG、と昔聞いたことがあります。GIAでは、エメラルドの含浸の説明を、

しばしば精油や他の油、ワックス、「人工樹脂」エポキシプレポリマー、または他のプレポリマー(UV硬化型接着剤を含む)、ポリマーなどで充填される。

https://www.gia.edu/JP/gem-treatment#より抜粋)

と記載しています。あれ、エメラルドも充填されてる……。

エンハンスメントとトリートメント


ややこしいのですが、エメラルドの含浸処理はエンハンスメントと呼びますが、ルビーに含浸処理をすることは、トリートメント扱いになるそうです。

日本では、宝石に処理をしても、その変化が変わらない場合はエンハンスメント、時間が経過すると効果が薄れたりして元に戻ってしまう場合はトリートメントと区別して鑑別書に記載されることが一般的でした。

しかし最近ではAGL(一般社団法人 宝石鑑別団体協議会)加盟の鑑別機関では、トリートメントとエンハンスメントは区別していません。

ただし小売店や、AGL以外の鑑別機関が発行する鑑別書には、トリートメントやエンハンスメントという文言が記載されることがあります。

素人にはわかりにくいですが、

「充填」とは石の穴や傷へガラスなどを埋め込むこと

つまり、鑑別書に書かれた「透明材を認む」は「充填」処理です。
そして「含浸処理」とは石を液体に漬け、それを石内部へ浸透させること。

日本では無色のオイルを用いた場合のみエンハンスメント、有色の材料を含浸した場合はトリートメントと区別していたようですが、海外ではこれは区別されないのが一般的。

ですから最近の鑑別書は区別しなくなったということのようです。

最後に


鑑別書の見方、慣れてないと本当にわかりにくいですよね。これを逆手にとって、大儲けしたり騙したりする人もきっといるはず。

皆さんも気をつけてくださいね。
しかしこのルビー、「1万円でも高いかも」という社長の言葉、聞きたくなかったです。。。

リカラット編集部 監修

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