エメラルドと間違えられた「ダイオプテーズ(翠銅鉱)」とは

ダイオプテーズ原石

マクロクリンイクミ。ロンドン特派員。Gem-Aで学んだ後、2001年にFGAとDGAを取得。宝石の歴史や伝説などについてのお話と、19世紀末のアール・ヌーヴォーのデザインがお気に入り。宝石やジュエリーの魅力について、深く探求するのが大好きです。

エメラルドと間違えられた「ダイオプテーズ(翠銅鉱)」とは

ダイオプテーズという宝石をご存知でしょうか?鮮明なエメラルドグリーンをしており、発見された当時はエメラルドと間違えられていたほど美しい発色をする鉱物です。

こちらでは、コレクターに人気の宝石「ダイオプテーズ」の性質から、歴史や産地、そしてパワーストーンとしての効果などをお伝えしていきます。

ダイオプテーズとは

ダイオプテーズ原石2

ダイオプテーズは緑色の宝石です。結晶は半透明に近く、少し青味はありますが鮮やかなエメラルドグリーンをしています。濃い緑色をしているため、せっかく持つ強力なファイアーが表面に現れることはあまりありません。

モース硬度は5と比較的柔らく、へき開性があって欠けやすいためにジュエリーとしてカットされることはほとんどありません。

ダイオプテーズの性質

結晶系 三方晶系
化学組成 含水銅珪酸塩
硬度 5
比重 3.31
屈折率 1.67-1.72
複屈折量 0.053
光沢 ガラス状

エメラルドに間違えられた宝石

ダイオプテーズ原石3
ダイオプテーズが最初に発見されたのは、ヨルダンにあるアイン・ガザールという新石器時代の古代遺跡で見つかった彫像に使用されていたものでした。

メソポタミアの先土器新石器時代B期に制作された、しっくいを材料とする彫像で、ダイオプテーズは眼のハイライトとして使用されていました。

この彫像は、紀元前7200年に作られたものと考えられています。

その後、18世紀後期にカザフスタンのカラカンダ州のアルテュン・テュベ銅山でダイオプテーズは発見されました。

発見された洞窟では、ライムストーンとクオーツが幻想的な輝きを放っており、さらにエメラルドグリーンを呈する鮮やかな結晶で埋め尽くされていたそうです。

発見された緑色の結晶は、当時はエメラルドと間違えられていたそうですが、その後モスクワに運ばれ鑑定が行われました。

その結果、この結晶の硬度は5で、硬度8のエメラルドよりも硬度が遥かに低いことが判明します。

ダイオプテーズの名前の由来

エメラルドと間違えられていた緑色の結晶は、科学的に新しい鉱物だということが判明しました。
そして1797年には、フランスの鉱物学者ルネ・ジュスト・アユイによって「ダイオプテーズ」と命名されました。

ダイオプテーズは2方向のへき開面を結晶表面から見ることができます。

このことから、ギリシャ語で「通して」という意味の”dia”と「見える」という意味の”optos”を足して「Dioptase」と名付けられたそうです。

ダイオプテーズの産地

ダイオプテーズ原石4
ダイオプテーズは、ロシア、ナミビア、ザンビア、アメリカのアリゾナ州、チリなどの鉱山で高品質のものが産出されていますが、最も価値が高いのは、ナミビアのツメブ産(写真)です。

一般的な鉱物とは異なり、ほとんどのダイオプテーズは砂漠のある地域で発見されています。硫化銅鉱鉱床の酸化帯において、二次鉱物として生成される…という少しややこしいプロセスで形成されるのです。

硬度が低いためにジュエリーとして加工されることは稀ですが、コレクターには大変人気の宝石で、カボションやブリリアントにカットされることもあります。

扱いには注意が必要で、超音波洗浄などにかけると結晶そのものが粉砕してしまいます。

パワーストーンとしての効果

ダイオプテーズ原石5
ダイオプテーズは植物から出るような自然の波動に似た、新鮮な癒しのパワーを持つ宝石と言われています。

緑の多い自然の中で森林浴をしているようなパワーを発し、疲れた心身を癒して心を平穏にしてくれるとか。

不安定な感情を和らげて平常心を保つように導いてくれるそうなので、悩みや不安が解消されポジティブな気持ちになれるかも!?

まとめ

ダイオプテーズ
いかがでしたでしょうか。

ダイオプテーズは硬度の低い鉱物なので、ジュエリーとして見かけることがなく、あまり一般的には知られていない存在なのかも知れません。

しかし美しい緑色は、心を癒してくれる不思議なパワーを持っていると言われています。

カットされていない自然なままの結晶も愛嬌があるので、鉱物の標本やコレクションとして大変人気がある宝石なのですよ。

リカラット編集部 監修





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マクロクリンイクミ。ロンドン特派員。Gem-Aで学んだ後、2001年にFGAとDGAを取得。宝石の歴史や伝説などについてのお話と、19世紀末のアール・ヌーヴォーのデザインがお気に入り。宝石やジュエリーの魅力について、深く探求するのが大好きです。