宝石鑑定士が教える正しいアメトリンの選び方

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こんにちは、リカラット編集部のオカベです。

紫と黄色が1つに混じり合った美しい石アメトリン。

残念ながらもともと流通量はかなり多めの石なのに、何とか希少性を上げようという意図からか多くの「偽情報」がネット上にあふれています。

そのためアメトリンを探すにあたって、多くの人が「嘘情報」に振り回されてしまっています。

例えば、

「アメトリンの意味とか効果ってどんなもの?」

「人工のアメトリンじゃなくて天然のアメトリンが欲しいな」

「このアメトリンの産地はボリビア産(ブラジル産)ですか?」

というご質問を受けることがよくありますが、アメトリンは産地を調べることも、実は加熱処理かどうかを調べることもできない石です。

嘘の無い良心的なお店で買い物をしたい!というのは万人の願いだと思います。

本日はこの「正しいアメトリンの選び方」、もっと言えば「良いお店の見分け方」について少しお話できればと思います。

アメトリンってどんな石?

アメトリン ルース

アメトリンの基礎知識についてはこちらの記事が詳しいので簡単にポイントだけ。

アメトリンとは、紫色のアメシスト黄色のシトリンが一つの石の中で同居している石のことで、クォーツ(石英)の仲間です。

アメシストの「アメ」と、シトリンの「トリン」でアメトリンなわけですね。覚えやすい。

ちなみに和名だと紫黄水晶(しおうすいしょう)と呼ばれます。そのまんまですね!

アメシストの原石とルース

アメトリンの原石はこんな感じで、

それが磨かれてルースになるとこんな感じになります。

と書くと誤解されやすいのですが、アメシストの場合この紫色と黄色とが同居した状態で地中に埋まっている

・・・わけではありません!

少し歴史を紐解きます。

1600年代にブラジルとの国境近くのボリビア、アナヒ鉱山というところでアメトリンは発見されました。スペインの征服者がその鉱山を発見したといわれており、当時(日本でいうと江戸時代)はその希少さは大変なものだったと考えられます。いわばアメトリンの幕開けです。

しかしながらその約200年後、1883年(日本でいうと明治時代)にまったくの偶然から、紫色のアメシストを加熱すると黄色に変化するということが発見されます。

アメシストは古くから産出量の安定している石です。発掘したての1600年代は大変に希少だったアメトリンですが、今日ではアメシストを半分だけ加熱することで、安価にアメトリンを作り出すことができます。

アメシストは世界中で採ることができますので、加熱処理によってこれまでつくられたアメトリンの数は「膨大」です。

そのため現在市場で流通するアメトリンの多くは、加熱処理されたアメシストであると考えられています。

あれ。「処理」ってなんだっけ。「偽物」のこと?と疑問に思うあなた。わかりやすく解説します!

加熱処理のアメトリン、非加熱のアメトリン

そしてここからがポイントなのですが、アメトリンはその石がアメシストを加熱処理して作られたものなのか、非加熱のアメトリンなのか、鑑別する技術が存在しません。

先ほども紹介した「1600年代のボリビアのアナヒ鉱山から産出された非加熱のアメトリン」は、加熱の ”処理” は施されてはいませんでした。

ただ、その生成過程は、恐らく地中のマグマなど天然の熱源によってアメシストが「半分だけ加熱された(加熱が途中で止まった)」ことによって出来たものと考えられています。

つまり両方「加熱」されているため、現在の技術ではその「自然に熱されたか、人が熱したか」を見極める術が無いのです。

「非加熱です!」と書かれて売られているアメトリンには注意が必要そうですね。

アメトリンの産地

そして次のポイントは産地です。結論から言うと、アメトリンは産地鑑別ができる石ではありません。

宝石の産地特定はとても困難|GIA鑑定士に聞いた産地証明の限界

確かにアメトリンが人類に初めて採掘された場所はボリビアのアナヒ鉱山でした。

だからといって「アメトリンの産地はボリビア!」と考えてしまうのは早計です。

なぜなら今日ではほとんどのアメトリンはアメシストを加熱して作られるからです。

そしてアメシストは世界中で採掘することができます。

つまり、アメトリンの産地は「世界のどこか」としか科学的には言いようがないのです。

うーん、ゴチャゴチャしてきた。じゃあアメトリンの「偽物」はどこで見分けたら良いの?

アメトリンの偽物

アメトリン 偽物

アメシストを加熱して出来たアメトリンが偽物なんじゃない?と思われる方もいるかもしれませんが、これは違います。

逆に朗報なのですが、アメトリンには「偽物」がほとんどありません。

宝石学的には「偽物」というのは以下の3つと定義されています。

  • 合成石(天然界に存在する物質を、その成分まで完全に同じに仕立て上げた人工物、合成ダイヤモンドなど)
  • 人造石(天然界には存在しない結晶系を、見た目だけ似せて作り上げたもの。キュービックジルコニアが有名)
  • 模造石(天然宝石に似せたガラスやプラスチックなど、似ても似つかないもの)

細かいことはいいのですが、要は石そのものを人工的につくりあげたものが「偽物」と呼ばれることになっています。

アメトリンというのはあくまで「天然にできた石」を、できあがった後に人が処理しているだけなので、定義上は「天然石=本物」です。

ではアメトリンの偽物は無いのか?というと、あるにはあって、代表的なものが上に写真で載せた「あまりに鮮やか過ぎるアメトリン」です。

この正体は実は「合成トルマリン」。アメシストですらなく、そして「人工物=偽物」です。

・・・なんですが、この鮮やか過ぎる「合成トルマリン」をあまり国内で見ることはないですし、余りに鮮やかなので見れば誰でも一発で分かります。何となく縁日で昔売ってたカラフルなヒヨコのような・・・。

何しろ偽物をつくる方が高くつくアメトリン。実は「合成のアメトリン(合成クォーツ)」もこの世にあることはあります。ただし鑑定士ですら実物を見たことがないようなレア品。

消費者の皆様は是非アメトリンの偽物に怯えることなく、ショッピングを楽しんで頂ければと思います。

というわけで本題です。

こんなアメトリン店は要注意

アメトリン 偽物 天然

1. やたら産地を謳っている

ここまで記載したように、アメトリンは産地を証明することも、また加熱か非加熱かを鑑別することもできません。

なんですがネット上には、

「天然のアメトリン」を求める場合には、ボリビア産もしくはブラジル産と記載されていることに注意し、産地が特定されていないものは、ほとんどが人工的に作られたアメトリンだと考えられるでしょう。

産地が明らかでないアメトリンは、熱処理や放射線照射の加工による場合があります。

なーんていう嘘情報が溢れ返っています。よくない!

ちなみにどちらも2019年7月現在「アメトリン」で検索すると1ページ目に出てくる記事です。

「ボリビア産」「ブラジル産」「天然」などを謳ってアメトリンを売ってらっしゃるお店には注意が必要です。

2. やたら手入れの方法が細かい

鉱物的にはクォーツですので、アメトリンは物質として極めて安定しています。

太陽光では変色しませんし、水にも油にも強いです。超音波振動器に入れても割れません(※もちろん元々ひびだらけのアメトリンであれば割れる可能性もありますが、あまり見ないです)

加熱処理並の高温で加熱したら変色するかもしれませんが、自然に暮らしている分にはまず問題ありません。

安心して身につけていただければと思いますし、手入れの方法が細すぎるお店は要注意です。

3. 効果・効能を謳っている

石言葉としてアメシストには「愛の守護石」「真実の愛をもたらす」という意味が。シトリンには「繁栄」「冨」という意味が。そしてアメトリンにはその両方が含まれているらしいのですが(※ こちらのページより一部引用)、

これ以上の「効果・効能」にまで踏み込むと、日本の法律上「薬機法違反」という罪に問われます

薬機法違反は罰則規定が厳しく、刑事罰で代表取締役社長の逮捕もあり得るような案件です。

もちろん美しい石に特別な意味を感じるのは個人の自由です。

ですが、売る側が効果・効能を謳うのは明らかにアウトです。なにせ刑事罰ですから。

当たり前なんですがそんなリスクを犯して石を売るお店には、ちょっと注意した方が良いんじゃないのかなぁ・・・と、私は思います。

最後に

以上、色々と話して行きましたが、

  • アメトリンの産地をアピールしていないか?
  • アメトリンが天然であること(無処理である)をアピールしていないか?

の2点には特に気をつけてお店を選んでいただければと思います。

素敵なお店で、素敵なアメトリンが見つかると良いですね。

ではでは!

リカラット編集部 監修

ABOUTこの記事をかいた人

リカラットONLINEを影で支えるべく、CSSをイジったりバナーをつくったり色々とやっています。 ライターとしてはまだまだ勉強中。好きな石はオパールです。オパールの虹色の様なきらめきは「遊色効果」といいます。 「色を遊ぶ」という表現が素敵だなと思います。がんばります。