菫青石、名前も色も美しいアイオライトってどんな宝石?

アイオライト ルース 集合

青紫が美しいアイオライトは、本当にさまざまな表情を見せてくれる石です。

光にかざしてみると、淡いブルー紫がかったブルー淡いイエローといったいろいろなカラーを見ることができます。

石の特徴や、「なぜ色が変化するの?」ということなど、アイオライトについてお話していきましょう♪

アイオライトの特徴

アイオライト ルース

アイオライトは、ケイ酸塩鉱物の一種です。

モース硬度は7~7.5と高い方ですが、一方向に劈開しやすい性質があります。

アイオライトの大きな特徴の一つは、見る方向によって色が変化することです。

「なぜ色が変化するのか?」ということについては、後にご説明しますね。

産地

主な産地は、インド、ミャンマー、スリランカ、マダガスカル、カナダなどです。

時にキャッツアイ効果やスター効果の見られるものが産出されることもあります。

名前の意味

アイオライトの名前の意味は、ギリシャ語のion(すみれ色)lithos(石)からきているといわれています。

和名は「菫青石(きんせいせき)」。

その名の通りすみれ色をしています。

宝石名はアイオライトですが、鉱物名は「コーディエライト」といいます。
こちらはフランスの地質学者であったルイ・コルディエが名前の由来となっています。

実はアイオライトは別名が多いことも特徴の一つです。

たとえば、色がサファイアにも似ていることと水を連想させる透明感があることから、「ウォーターサファイア」とも呼ばれています。

また、見る方向によって色が変化する多色性という特徴から、「二色性のある石」という意味の「ダイクロアイト」という別名もあります。

アイオライトの色と種類

アイオライト ルース

アイオライトの色と種類について、もう少し詳しくお話してまいりましょう。

アイオライトの中で価値が高いのは、バイオレットブルーで透明度の高いものといわれています。

そしてアイオライトにはブルー以外の、宝石としては別のものとして扱われる種類もあります。

二種類の大変珍しいアイオライトをご紹介しましょう。

ホワイト・コーディエライト

稀に無色のアイオライトが産出されることがあり、それらは鉱物名であるコーディエライトの方をとって、「ホワイト・コーディエライト」と呼ばれています。

カラーレスで透明度が高いものほど、価値高く扱われる傾向にあります。

ブラッドショット・アイオライト

レピドクロサイトなどの鉄分が多く含まれたアイオライトは、見る方向によって光を反射して赤く見えることから「ブラッドショット・アイオライト」と呼ばれています。

「ブラッドショット」には「充血した」「血走った」「叫び」などの意味があります。

しかし市場に出回ることが少ないため、なかなかお目にかかることはできないといわれている石です。

同じレピドクロサイトが含まれたアイオライトで「アベンチュリン・アイオライト」と呼ばれるものもあり、こちらは角度を変えると中のレピドクロサイトがキラキラと輝いて見えるそうです。

アイオライトの原石

アイオライト 原石

アイオライトは、低圧型の広域変成岩接触変成岩花崗岩ペグマタイトの中などで生成されることが多いといわれています。

透明、または半透明でガラス光沢を持ち、結晶は柱状を示します。

アイオライトの結晶が分解すると、その形のまま「仮晶」という現象で、白雲母(しろうんも)、緑泥石(クロライト)に変化します。

やがて時を経てアイオライトが風化すると、その断面が桜の花びらのように見えることから「桜石」と呼ばれる石になります。

出典元:Wikipedia

お花模様のとても可愛らしい石ですね。

桜石の最も有名な産地は、京都府亀岡市です。
「稗田野の菫青石化晶」と呼ばれる桜石は国の天然記念物に指定され、菊花石、梅花石とともに「三大花紋石」のひとつとなっているそうです。

この話を聞いて、桜石を見てみたい!桜石をみつけることはできるのかな?と気になって調べてみたところ、採掘は禁止とのことでした。

ただし天然記念物に指定される前に採取されたものなどを購入することは可能なようです。

多色性とは?見る角度によって色が変化するのはなぜ?

アイオライト ルース 多色性

アイオライトの結晶を光にかざしてみると、ある方向から見ると紫に近い濃い青色に見えたものが別の方向からはグレーがかった色に見えたり、また違う方向から見ると明るい青色だったりと色が変化して見えます

この現象を「多色性」といいます。

ではなぜ、このような色の変化が起こるのでしょうか?

アイオライトの多色性は、結晶に含まれる「鉄」がもたらしていると考えられています。

ちなみにアイオライトの青色の発色要因もこの鉄だといわれています。

そして、結晶の中を通った光が方向によって光の吸収の仕方を変えるために色が変化して見えるということです。

アイオライトは特にこの多色性が強いとされている宝石です。

カットで変わるアイオライトのカラー

アイオライトは強い多色性をもつため一番美しく見せるためのカットが難しいとされている宝石です。

ブルーが最大に見える方向にテーブル面を切り出すのですが、わずかなカットの違いで色の出方に大きく影響してしまうとか。

主にオーバルカット、ラウンドカット、ステップカットなどにカットされることが多いように思います。

実は二色ではなく、三色?

前述したように、アイオライトは「二色性のある石」という意味を持つ「ダイクロアイト」という別名をもっていますが、実際には三つの色が見えることの方が多いようです。

石によって見える色は異なるものの、青紫、淡い青色、黄褐色や黄緑色、無色に近い青などといった色の中から三色が見えます。

※「多色性」について、また色が変化する特性である「変色性」について詳しく書かれた記事がありますので、ご興味がある方はこちらも参考に

昔は羅針盤代わりだったって本当?

羅針盤
アイオライトには太陽にかざすと色が変化するという特徴からか、昔バイキングが羅針盤の代わりにしていたという言い伝えがあります。

これは、「アイオライトを太陽の光にかざしたとき、最もブルーが強く見える方向に船の進路を取った」というもの。

しかし中には、当時の航海は濃霧が命とりだったため、アイオライトの見る向きによって色が抜けて見える様を霧が晴れることになぞらえて、航海のお守りにしていたのではないかという説もあるようです。

アイオライトとタンザナイトの違い

タンザナイト アイオライト ルース 混在

アイオライトと同じように多色性が強い宝石にタンザナイトがあります。

アイオライトとタンザナイトは共にブルー系の宝石であり、見た目もとても良く似ています。

この両者の見分け方の一つは色味です。

アイオライトやや黒っぽさを感じる藍色のものが多いのに対し、タンザナイト青紫色に近いものが多い気がします。

※画像はリカラット社長ツイッターより。

買い付けたタンザナイト20粒を鑑別したら、アイオライト2粒と合成サファイアが混入していたというものです。

丸で囲った3粒が混入していたもの。なるほど!パッと見ただけではわかりませんね。

アイオライトの処理について

アイオライト ルース

またアイオライトには高熱に弱いという性質があり、それ故に加熱処理ができないといわれています。

なので、市場に出回っているものの多くは無処理のものだとされてきました。

ただ最近は、放射線照射で色を調整することができるようになったといわれています。

最後に

アイオライト ルース
名前も色もとても美しいアイオライトをご紹介してまいりました。

この機会に興味を持っていただけたら嬉しいです。

ジュエリーにしても素敵ですが、ルースで持っていると色んな方向から光にかざして眺めたり、色を見比べたりすることもできて楽しいと思います。

アイオライトの色の変化を、ぜひお手に取ってお楽しみください♪

リカラット編集部 監修

ABOUTこの記事をかいた人

ジュエリー専門学校で、ジュエリーデザインとメイキングを学び、主にダイヤモンドジュエリーを扱うメーカーに就職。デザインと営業事務に携わりました。好きな石はダイヤモンド。趣味でアクセサリーを作っています。