宝飾業界のレジェンド、諏訪恭一氏に聞いた「ジュエリーの資産価値」とは ~JJFセミナーレポート~

2019年ジャパンジュエリーフェア(JJF)。

世界から宝石バイヤーが最新の宝石を求めて集まるこのイベントで、一際熱気に包まれていたのが、諏訪貿易(株)会長の諏訪恭一(すわ やすかず)氏によるセミナーでした。

諏訪恭一氏といえば、宝飾業界のレジェンド。日本人で初めてGIA(米国宝石学会)G.G.(宝石鑑別士)を取得した人物です。

セミナータイトルも、ズバリ

「ジュエリーの価値はどこにあるのか〜販売員が理解すべきジュエリーの資産価値〜」

です!

さっそく内容をご紹介しましょう。

ジュエリーは3種類に分類できる

セミナー資料より抜粋

人は宝石に、長い間憧れてきました。宝石は、もとは地球のカケラです。とびきり美しく、永く身に着けることができて、希少性の高いものが宝石です。

諏訪先生のレジュメの冒頭の文章です。宝石は「地球のカケラ」。確かにそうですよね。

しかしそんな宝石を、多くの人は人工生産物と宝石の区別がつかず、混ぜこぜにして持っているのが現状です。

そこで諏訪先生は宝石を3種類に分類されました。

・宝石の装身具ー家族代々受け継がれ、価値を持ち続けるもの

・ゴールド・プラチナの装身具ートレンドが終わると溶かされ、別のものに再生されるもの

・その他の装身具ー銀、銅、ニッケルなどの金属と組み合わせて作られたもの。修理ができないため、いつか捨てられる

これらの宝石の仕分けをして価値を明らかにすることは、

「医師が病気の診断をするのと同じくらい宝石商にとっては重要なことだ。」

と諏訪先生はおっしゃっていました。

良い宝石の見分け方とは

セミナー資料より抜粋

それでは具体的に、良い宝石とはどんな宝石なのでしょうか。

諏訪先生は、大事なポイントとして、

「宝石の仕立ての良し悪しの要は裏取りがしてあるかどうかです。」

とおっしゃっていました。

上の3つの商品のうち、一番左側の葉っぱの形のピンブローチを御覧ください。

裏側の穴が蜂の巣状に開いています。この繊細なカッティングのおかげで、光を大きく取り入れ、宝石の美しさをより引き出しています。こういう商品は裏取りが美しく、宝石としての評価も高くなります。

右側のエメラルドとダイヤのリングは、ドリルで丸穴を揃えた後、地金のバリを取り除いただけの仕上げです。量産品によく見られる手法で作られているので、仕立ての品質としてはやや低くなります。

このように、細部へのこだわりと仕上げに時間をかけられるか否かが、品質の善し悪しを決定します。

ジュエリーの資産価値

セミナー資料より抜粋

宝石と貴金属の価値に、構想と仕立ての良し悪しを加味したものが、物としての価値です。これを諏訪先生は、

「ジュエリーの基本価値」

であるとおっしゃっていました。

そして、オークションの落札価格のように、基本価値に人気度が加味されたものが「市場価値」、基本価値に店舗費、人件費、販売促進費などの費用を加えたものが「小売価格」となります。

ジュエリーの資産価値を調べるには、ジュエリーを正しく品質判定することが必要です。

そのため、ジュエリーの格付けとして品質を5段階に分け、それぞれの格付けの倍率を決め、資産価値を割り出します。

■ジュエリーの品質判定

・E:EXCELLENT(3~10倍)

・VG:VERY GOOD(2倍)

・G:GOOD(1.4倍)

・F:FAIR(1倍)

・P:(0.7倍)

例えば、プラチナのサファイアリングの資産価値を調べてみましょう。

素材価値は、プラチナとサファイアの原価です。

原価が3万円、品質を判定した結果、VGとなった場合、

3万円×VG(2倍)=6万円が基本価値です。

この基本価値に人気度をかけたものが市場価値となり、そこから資産価値が割り出せます。

小売価格を決めるときは、

基本価格+販売費用=小売価格

となります。

このように数値化して式に当てはめると、誰でも宝石の資産価値を割り出すことができますね!

最後に

1時間という限られた時間の中で、ジュエリーの資産価値をわかりやすく説明して下さった諏訪先生。

宝石をお客様にオススメするときにも、自分で買うときにも、本当に参考になるセミナーでした。

実はこのセミナー内容、諏訪先生の著書『品質がわかるジュエリーの見方』から一部抜粋して行われたもの。

もっと詳しく知りたい方は、『品質がわかるジュエリーの見方』諏訪恭一/ナツメ社をぜひ読んでみてください!

諏訪先生、貴重なセミナーを有難うございました!

編集後記

諏訪恭一氏
このブログの内容をご確認して頂くために、後日諏訪先生の会社に行ってきました。

諏訪先生はとても気さくなお人柄で、長時間に渡り色んなお話をしてくださりました。
ジュエリーのこと、これからの宝石業界について、貴重なご意見、ご指導を頂き感謝感激です!

宝石の本を沢山執筆されている諏訪先生。

諏訪先生の新著、2019年8月15日に発売された『宝石品質ガイド〜クオリティスケール 諏訪恭一/(株)アーク出版』は、宝石の色品質のクオリティが人目でわかるようになっています。

水色のグループのカラーがトップクオリティのエメラルド。宝石の品質が人目でわかります。

メモ帳サイズなので、かばんに入れて持ち歩きしやすいです!これはオススメ!

諏訪先生のお話を聞いてつくづく思いました。これからは、安いものより、資産価値のある宝石(ジェムクオリティ)を買おう!(その方が後々価値が上がるかも……。)

サインも頂いてしまいました!

最後に、諏訪先生から聞いた、ウォーレン・バフェット氏が言っていたという言葉をご紹介します。

「Price is what you pay ,value is what you get」
(価格とはあなたが支払うものであり、価値とはあなたが得るものである)

リカラット編集部 監修